漢方薬の話

漢方薬に対して、「速効性がない」「長く服用しないと効かない」「安全な薬」「体質を改善する薬」など、さまざまな印象をお持ちではないでしょうか。
現代の日本における医療は、西洋医学が中心です。
治療方針を決めていく上で大切なことは、病名を決定することです。
当たり前のことのようですが、東洋医学においては極端なことを言えば、病名を決める必要はありません。
東洋医学の考え方は、体の一部に歪み(ゆがみ=病気)が生じた場合、それは全身のバランスが崩れた結果生じたサインの一つと見なします。
例えば顔にニキビが出た場合、西洋医学では二キビという病名に基づいて、「ニキビ菌」を抑える抗生物質や皮脂分泌をコントロールするためのビタミン剤を服用することが多いものです。
体がかゆい時に、かゆみ止めの飲み薬を飲むこともしばしばあります。
これに対して東洋医学では、ニキビや体のかゆみを全身バランスが崩れた結果生じたサインと考えます。
手足の冷えや便秘、疲労、ストレス、胃腸が弱いなど、ニキビやかゆみを引き起こす背景要因と考えられるものは人それぞれです。
これを、東洋医学的なアプローチで見極め、処方を決定していきます。
つまり同じ病名だからといって、誰もが同じ漢方薬で同じ効果が得られるものではないのです。
住環境や食事などの生活環境の変化に伴い、慢性的な病気が増えてきています。
西洋医学の行き詰まりを実感する場面も少なくありません。
こういった時に、漢方治療が役立つかもしれません。
近年、漢方薬に対する西洋医学側からのさまざまな検証、研究がなされるようになりました。
そして漢方薬の作用するメカニズムが、西洋医学的に徐々に解明されてきています。

2024年10月01日