内臓のかがみ
皮膚に発疹ができた時、内臓に異常があるのではないかと考えたことはありませんか?
皮膚の変化と内臓の異常が関わるケースはそれほど多いわけではありませんが、全く関係ないわけでもありません。
皮膚と内臓の関係で最も心配なのが、内臓に悪性腫瘍があるかどうかです。
さまざまな皮膚病が内臓悪性腫瘍に関連して出現しますが、大きく分けると次の4項目になります。
①内臓悪性腫瘍が直接皮膚に浸潤して生じる変化
②内臓悪性腫瘍を生じやすい遺伝性の皮膚病
③腫瘍随伴症状と言われる皮膚の変化
④環境因子により内臓悪性腫瘍と皮膚症状が表れる現象
これらが内臓悪性腫瘍に関連する皮膚症状です。
しかし、目の前にある皮膚病変が本当に内臓悪性腫瘍と関連があるかどうかを科学的に証明するのは困難です。
具体的なことは別の機会にご紹介致します。
一方、肝臓の機能が悪くなると皮膚に変化が表れることがあります。
皮膚の血管が広がる血管拡張というものが高い頻度で引き起こされます。
その結果「クモ状血管腫」と言われる発疹が顔や首、胸に現れます。
欧米人に多いのですが、アメリカドル紙幣を光に透かしたときに見られるような状態が皮膚表面に引き起こされることがあり、紙幣状皮膚(ダラースキン)と言います。
手のひらの親指や、小指の付け根部分が真っ赤になる手掌紅斑という症状も、肝硬変やアルコール性脂肪肝の方に高い確率で認められます。
全身の皮膚が、生体色素のビリルビンにより、黄色・黄土色を呈する黄疸という症状もあります。
頻度は必ずしも高くありませんが、時に皮膚には内臓の異常が反映されます。
気になることがあれば皮膚科を受診してください。