デュピュイトラン拘縮??

こぶのようなものが手のひらや指にでき、皮膚がひきつれて徐々に伸ばしにくくなる。
このような病気があるのをご存じでしょうか。
デュピュイトラン拘縮という病気かもしれません。
手のひらの皮膚の下には「手掌腱膜」という膜があり、靭帯のような役割を担っています。
この手掌腱膜が固くなり、こぶのような結節を作り、周囲の血管や神経を巻き込んで縮まっていくことにより、手のひらの変形が起こると考えられています。
デュピュイトラン拘縮は薬指や小指にできることが多いのですが、他の指や足の裏にできることもあります。
痛みは伴いません。
なぜこういうことが起こるのか、まだよく分かっていませんが、外傷などによる局所の血液の滞りによって、線維芽細胞という細胞が増えることが原因なのではないかと考えられています。
50~60歳代の男性に多く、背景に糖尿病や肝硬変、慢性アルコール中毒が存在することが多いようです。
他にも肩関節周囲炎、慢性肺疾患、痛風などが関わっているという報告もあります。
実は、この病気は皮膚科の病気ではなく、整形外科の病気です。
腫瘍や腱の断裂・癒着などと区別しなければいけないのですが、整形外科医が診察すれば、比較的簡単に診断できます。
自然によくなることがほとんどなく、手術が必要になります。
病名にあるデュピュイトランとは、1777年フランスに生まれた外科医の名前に由来します。
ナポレン1世の時代に活躍した人です。
ナポレオンと権力を争ったルイ18世や、次のシャルル10に仕えた侍医でもあります。
ちなみにルイ18世はデュピュイトラン拘縮の背景要因かもしれない痛風が悪化し、さまざまな病気が起こり、呼吸困難となり衰弱し亡くなったそうです。

2024年03月01日