手荒れの話
手がカサカサしたり、かゆくなったりすることはありませんか。
それは手湿疹かもしれません。
手をよく使う人に多くみられ、日常生活で触れるさまざまな刺激によって生じる皮膚の炎症です。
家事や仕事で水や洗剤などを使う頻度が多いと、皮膚表面に存在する潤いを保つ成分(皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子)が減り、湿疹が生じやすくなります。
空気が乾燥する秋から冬に悪化することが多いのですが、夏の暑い時期に悪化する人もいます。
どうしてでしょうか。
その理由の一つに食事が影響しているかもしれないのをご存じでしょうか。
私たちが普段食べている食品の中には、微量ながら金属を含むものが存在します。
豆類や海藻、ホウレンソウ、カボチャ、レタス、カキ、チョコレート、紅茶など、さまざまな食品に微量金属は含まれています。
この微量金属は口の中の粘膜や消化管で吸収され、汗や涙、尿などで排せつされます。
金属に対してアレルギーを持っている人は、汗や涙に含まれる微量金属に反応し、一種のかぶれを起こしてしまうことがあります。
皮膚の中でも特に手のひらの皮膚は、汗を分泌する器官がとても密に分布し、しかも汗に含まれる金属の濃度が高い部位です。
つまり、夏に手湿疹が悪化してしまうのは、金属アレルギーが関わっている可能性があるのです。
これまで、アクセサリーや時計などで金属かぶれを起こしたことがある人、汗をかいて湿疹の症状が悪くなったことがある人は、金属アレルギーの検査を受けてみてもいいかもしれません。
検査はパッチテストという検査を行います。
金属の試薬を皮膚に貼り、人工的なかぶれの症状が出現するかどうかを調べる検査です。
ニッケルやコバルト、クロムといった微量金属は、アレルギーを起こす頻度の高いものですが、先にあげた食品以外にも、ほとんどの食品に含まれています。
また、漢方薬やサプリメントにも金属を多く含むものもあります。
従って完全に金属を除去するのは難しいと言えます。