毛虫皮膚炎
近年、毛虫による被害が多いように思われます。
毛虫皮膚炎と言われる皮膚の炎症は、ガの幼虫である毛虫の毒を持った毛=有毒毛に触れることで発症します。
皮膚炎を起こす代表的な毛虫は、ドクガ類とイラガ類の幼虫です。
有毒毛は「毒針毛」と呼ばれており、成虫の尾の部分や、幼虫の脱皮した抜け殻にも付着しています。
そのため毛虫との接触だけではなく、成虫や木の葉、枝に残る幼虫の抜け殻との接触でも毛虫皮膚炎は起こります。
殺虫剤散布後の死骸の毒針毛が風に舞い、皮膚に付着すると、直接幼虫との接触がなくても皮膚炎を発症することがあります。
通常ドクガは草原の中で生思しており、山や草原に入らない限り、被害に遭うことはありません。
ところが、時にドクガは大発生することがあります。
草原に隣接する道路を越え、住宅地や公園に侵入してくることがあるのです。
毒針毛に触れた直後には、かゆみと少し膨れたような赤みが出現します。
そして接触した翌日以降になると、その部分に数多くの赤い丘疹(プツプツ)が現れます。
もしドクガに接触してしまった、あるいは接触したかも知れない時は、擦ってはいけません。
まず、弱い流水で毒針毛を洗い流します。
ガムテープに毒針毛を付着させ除去するのも有効です。
不思議なことに、毛虫による皮膚炎を生じた患者さんの約80%は、毛虫が原因であるとの認識がないという調査結果があります。
これは典型的な症状である、赤いプツプツは接触直後ではなく、l日か2日たってから出現するからかもしれません。
また、死骸の毒針毛が、知らず知らずに付着して炎症が起きる場合のように、直接接触した記憶がないのも、その理由かもしれません。