乾皮症について

乾皮症とは、皮膚の表面がカサカサと白く粉がふき、ひび割れを生じるような乾燥した状態を言います。
以前の日本では、ほとんど問題にはならなかったものです。
しかし、ここ20、30年の間に、生活様式の欧米化や住宅の高気密化が進み、乾皮症が冬を中心に日常的にみられるようになりました。
時期を同じくして、アトピー性皮膚炎の患者さんの数も急増しています。
赤ちゃんの皮膚は生まれてしばらくの間は、母親のホルモンの影響で、毛穴から分泌される皮脂の量が多く乾燥はしていません。
しかし、生後3~6カ月ごろからそのホルモンの影響がなくなり、皮脂があまり分泌されなくなります。
そのため、乳児や小児の6、7割は冬に乾皮症を生じてしまいます。
思春期に向かい、皮脂の量が増えてくると、いったん乾燥した状態は解消します。
しかし女性は25歳ごろから、男性でも50歳を過ぎると、皮脂の分泌が減り、再び皮膚の乾燥が強くなります。
冬になり、腰や脚を中心に皮膚がカサカサし、かゆくなるのはこのためです。
さらに年を重ねると、皮膚表層の角質のアミノ酸の量が低下し、乾燥が強くなります。
特に冬場はほとんどの人がいわゆる「老人性乾皮症」の状態になります。
冬の乾燥対策として重要なのは、室内の湿度を高めることです。
加湿器を使用したり、洗濯物を室内に干したりし、湿度を50%以上に保つのが望ましいでしょう。
また、入浴時に洗浄力の強いせっけんやボディーソープの使用は控えめにした方がいいと考えられています。
ナイロンタオルを使用し、体をゴシゴシこするのはよくありません。
入浴後にワセリンなどの保湿・保護剤を使用するのは有効です。

2023年10月12日