内臓と皮膚、つめ

皮膚に変化が起きた時、「ひょっとして内臓が原因では?」と考えたことがある方は結構いらっしゃるのではないでしょうが。
皆さんが考えるほど、内臓の病気が影響して皮膚に変化が起こるケースは多くおりません。
かといって、内臓と皮膚は全く関係がないわけではありません。
今回はこの関係のごく一部をお話しします。
慢性的な肝臓病の方は、皮膚の血管が広がる「血管拡張」が高い頻度で引き起こされます。
その結果、「クモ状血管腫」と言われる変化が顔や首、胸に現れます。
クモ状血管腫は、赤い点状の部分が中心にあり、その周囲に放射状に蛇行した血管が見られるものです。
あたかも赤いイトミミズがいるような変化です。
肝臓病以外でも、妊婦や経口避妊薬を服用されている方、また甲状腺機能亢進症の方にも見られることがあります。
つめに現れる変化から内臓の病気を推測することもあります。
「ばち状つめ」もしくは「時計皿つめ」、「ヒポルラデスつめ」などと言われる変化です。
つめが指先を包み込むようにこんもりと盛り上がり、太鼓をたたくバチのような形になります。
多くは手足のつめに左右対称に生じます。
肺がんや気管支拡張症、肺気腫、うっ血性心不全、感染性心内膜炎など、慢性的な肺や心臓の病気で見られることが多く、
肺がんでは初期症状の60%に出現すると言われています。
「さじ状つめ」という変化もあります。
これは鉄欠乏性貧血の場合によく見られ、つめがスプーンのように中心がへこんだ形になります。
全身の病気以外にも酸やアルカリ性物質、有機触媒など化学的な刺激で生じることもあります。
皮膚やつめには内臓の異常が反映されることがあります。
気になることがあれば皮膚科を受診して下さい。

2023年02月02日