イラクサ
皆さんは「イラクサ」 という植物をご存じでしょうか?
私の体験談ですが、高校生の時に、知らずにこのイラクサに触り、大変痛い思いをしたことがあります。
当時、私はハンドボール部に所属していました。
練習の途中グラウンドから飛んで行ったボールを拾いに草むらに行ったのですが、その時誤ってイラクサに触ってしまったのです。
その時の何とも言えない痛みは今でも忘れられません。
イラクサはイラクサ科に属し、本州、四国、九州の低山地に分布する多年草です。
日本では若芽を山菜として食べる地域があります。
ヨーロッパではイラクサの一種を薬用ハープとして使用したり、植物栽培の際、病害虫や雑草の被害を抑えるコンパニオンプランツとして使用したりする習慣があります。
また、戦時中の日本では救荒植物として栽培され、ゆでた葉を乾燥させて食料にしていたそうです。
最近は北海道でも自生するイラクサが見られるようになりました。
イラクサの茎や葉の表面には、うぶ毛のような細いとげがあり、触ると鋭い痛みを感じます。
これはとげの根元に袋があり、その中にヒスタミンやアセチルコリン、セロトニンという物質が含まれているからです。
とげに触り、その袋が破れて液体が皮膚に付着すると痛みを感じるのです。
先日の新聞記事にもありましたが、奈良県にある奈良公園のイラクサは、シカに食べられるのことを防ぐために「毒」のあるとげを多く持つように進化したという研究結果が、奈良女子大学のグループから発表されました。
その研究で奈良公園のイラクサは、奈良県南部のイラクサよりも五十倍以上のとげを持つことがわかったのです。
また奈良公園内のイラクサと奈良県南部のイラクサでシカに食べられやすいのはどちらか、という実験を行ったところ、
奈良県南部のイラクサはすべて食べられたのですか、奈良公園内のイラクサは60%以上も残ったという結果がでています。
千二百年という長い間に、イラクサのシカに対する防御機構が進化・発達したようです。
私の出身は奈良なのですが、高校時代に触ったイラクサは、まさにこの奈良公園のイラクサだったのです。
イラクサば漢名を蕁麻といいます。イラクサに触れると皮膚が腫れることから、蕁麻疹という病名が付けられました。