「ニキビ」について PertⅡ

前回に引き続き、「ニキビ」について少しお話をしたいと思います。
外来診療を通じて、ニキビで悩んでらっしゃる方がこれ程多いものかと、痛感する日々をおくっております。
一般的なニキビの治療は、主に内服治療と外用療法で、更に、食生活も含めた生活指導を加えるというものでした。
しかしここにきて、ニキビ治療に、新たな手法が加えられてきています。そのひとつが「ケミカルピーリング」という方法です。皆様もどこかでこの「ケミカルピーリング」もしくは「ピーリング」という言葉を耳にしてらっしゃるかもしれません。
「ケミカルピーリング」とは、皮膚にある種の化学物質(ピーリング剤)を塗布し、その作用により皮膚の表面を一定の深さではがし落とす治療のことを言います。ニキビに対して「ケミカルピーリング」を行う理由は、ニキビの初期の状態もしくは前段階である、白ニキビの発生を予防する目的や、赤く化膿したニキビから膿が出るのを促すといった目的があるからです。また、「ケミカルピーリング」に使用する薬剤によっては、いわゆるニキビ痕を平坦にし、目立たなくする効果も期待できます。
しかしニキビだからといって、何が何でも「ケミカルピーリング」というわけではありません。大部分のニキビは一般的な治療で十分コントロールできます。しかし、残念なことに、中には一般的な治療に反応しにくいニキビを患ってらっしゃる方もいらっしゃいます。そういった場合に、「ケミカルピーリング」を試す価値があると思います。
「ケミカルピーリング」は決して万能の治療ではありません。注意して頂きたいのは、副作用がないわけではないということです。起こりうる副作用として、治療後に赤みや痛みが続くこと、炎症後の色素沈着や痂皮(かさぶた)ができてしまうこと、さらにはニキビそのものが一時的に悪化することもありますし、ヘルペス(ウィルスによる病気)が起こってしまうこともあります。ですから「ケミカルピーリング」を受ける際には、その効果のみならず、副作用についても十分説明を受ける必要があります。
ひと昔前までは、「ニキビは青春のシンボル」などと言われ、いつのまにか治っているものでした。しかし、最近ではいつまでたっても治らないニキビが増え、一般的な治療に反応しない方も中にはいらっしゃいます。そのために、学校や仕事に行きことが出来なくなったり、効果が定かではない自己治療を行ってしまったりして(それに多額の費用を注ぎ込むこともあるようですが)、精神的に追いつめられることも少なくありません。
ニキビ治療にはまだまだ可能性があります。ですから、一人で悩まず、是非とも一度皮膚科を受診し、相談してみて下さい。

2020年08月03日