癜風(でんぷう)

今回は「癜風」という病気についてお話をします。
あまり聞き慣れない病気かもしれませんが、決して珍しい病気ではありません。
胸や背中の上の方、脇や首に多く見られる皮膚病で、丸い形もしくは楕円形をし、淡い茶色または色が抜けたかのような白色の斑点として現れます。
特別、かゆみや痛みを伴わないので、「癜風」ができたことに気付かないことが多いようです。
一見したところ、シミ?ホクロ?と思うかもしれませんし、色が抜ける病気、いわゆる「シロナマズ」のように感じるかもしれません。
胸や背中にできた淡い茶色をした発疹が、すべて「癜風」というわけではなく、当然ながら、シミやホクロである可能性は十分にあります。
さて「癜風」はカビ、つまり真菌の一種である「マラセチア」の感染により起こる病気です。
水虫やカンジダも「癜風」と同じ、カビ(真菌)の感染によって起こりますが、その種類が違います。
診断をする上で、発疹の出ている場所、色、形など見た目は重要です。
確実に判断するには、発疹の表面を擦ったり、テープを使用したりして細かいカサカサを採取し、顕微鏡を使ってカビの存在、つまりマラセチアの存在を確認する必要があります。
診断が確定したら、治療ですが、その基本は外用薬です。
だいたい四週間程で良くなります。
しかし、再発を繰り返す場合や、病変が広範囲に及ぶ場合には内服薬が必要になります。
「癜風」の原因であるマラセチアは皮脂を好み、比較的高温の環境で増殖します。
従って、お肌の清潔を保つことは予防にも治療にも役立ちます。

2021年10月05日