高齢者のお肌について

日本では年々高齢化が進んでいます。それに伴い、皮膚トラブルも増加傾向にあります。
高齢者の皮膚の特徴は、皮脂の分泌が減り乾燥してくることや薄くなることなどが挙ぼられます。その結果「小じわ」が、より「粉がふく状態」 になります。
もう少し詳しく言いますと、高齢者の皮膚は皮脂の分泌の低下とともに、「セラミド」をはじめとする「角質細胞間脂質」や、「天然保湿因子」の主成分である「アミノ酸」の合成量が低下します。
その結果、水分を保持できなくなり、皮膚が乾燥して「バリア機能」が低下してしまいます。
皮膚表面に存在する角質層の水分含有量は通常15%ですが、10%を下回ると急激に外界からの刺激に弱くなります。
また、かゆみを感知する知覚神経の神経線経は、正常では表皮と真皮の間までしか伸びていませんが、皮膚の乾燥が進むと、表皮の中まで侵入してきます。
そのため、普通では問題とならないような軽い刺激にも反応してかゆみが起きやすくなります。
つまり、衣類との摩擦や温度の上昇など、ちょっとした刺激でかゆみを覚えてしまうのです。
かゆみが起こると、どうしてもかいてしまいますが、そうすると、皮膚に湿疹が生じ、皮膚のバリア機能がさらに悪化してしまいます。
かかないためには日常生活上の注意が必要です。
せっけんやシャンプーを選ぶときは洗浄力の強いものを避け、使用量も必要最低限にする必要があります。
それ以上に注意する必要があるのは、「こする」ことです。
あかや皮膚表面のカサカサを落とすという目的からなのか、また長年の習慣からなのか、ゴシゴシと体を洗う方が多いようです。
そうすることによって皮脂が失われ、皮膚表面の角質層もそぎ落とされてしまいます。
つまり、こすればこするほど、皮膚の乾燥が誘発されてしまうのです。
入浴時にはタオルを使用せず、せっけんを手で泡立てて優しく洗うのが一番といえます。
入浴後に保湿剤を塗るのも役立ちます。
市販されている保湿剤にはかゆみを止めるために入れてある成分が刺激になることがあり、注意が必要です。
保湿を目的にした入浴剤の使用も有効です。

2022年03月12日