ペットを介する皮膚病

みなさんのお宅ではペットを飼ってらっしゃるでしょうか?。
近年、ペットの多様化に伴い、さまざまな皮膚病が増えてきています。
そんな中で多いのがノミによる皮膚病です。
今回はこのノミについて少しお話しいたします。
人間には「ヒトノミ」「イヌノミ」「ネコノミ」「ネズミノミ」が寄生し、吸血します。
第二次世界大戦直後は「ヒトノミ」の寄生が多くみられましたが、1950年代に入ると「イヌノミ」の寄生が多くなってきました。
60年代に入りノミの被害は一時減少しましたが、80年代以降のペットブームで、再びその被害が増加しています。その多くは「ネコノミ」によるものです。
日本における最近の調査では、犬においても猫においても、採取されたノミの多くは「ネコノミ」という結果が出ています。これは世界的な傾向です。
人間への感染は、ペットを抱きかかえた時に直接ノミが移ったり、ノミに感染したペットの通り道から感染する経路があります。
ペットの通り道である地面や畳、じゅうたんの表面には、ノミはサナギの状態で存在しています。成熟したサナギは人間の発する二酸化炭素やドアの開閉といったわずかな振動、圧力、温かさを感じると脱皮が始まります。
その後の羽化は数秒で完了し、成虫になり、そこを通った人間の脚に飛びつき寄生を始めるのです。
ノミの寄生の被害が多いのは夏ですが、暖房が完備されている近年は冬でもみられます。
人間にノミが寄生し、血を吸われると、突発的な痛みやかゆみを感じ、皮膚が赤くなったり小さなプツプツができたりします。
その部分を引っかくと、二次的に細菌感染を起こすこともあります。
ペットを飼ってらっしゃる方で、皮膚に何らかのトラブルが起こった場合、ノミによる被害かもしれません。
早めに皮膚科を受診するようにしてください。

2021年11月06日