虫刺され
北海道も少しずつ暖かくなってきました。外に出る機会も多くなってきたことでしょう。
外で活発に行動するのは人間だけではありません。さまざまな虫も活動を始めます。
そこで問題となるのが「虫刺され」です。
虫は、皮膚を刺したり、血を吸ったりする際に、毒成分や唾液腺成分を皮膚に注入しています。
これらの物質が生体に対して、化学的刺激やアレルゲン(アレルギーの原因物質)となって、皮膚の炎症が発生すると考えられています。
ハチやムカデ、イラガ(ガの一種)の幼虫である毛虫などに刺されたり、触れたりすると、痛みや皮膚が赤くなる発赤といった症状がみられます。
これは毒針などで刺されたことによる物理的な刺激と、注入された毒成分による化学的刺激によって生じると考えられています。
これらの反応は通常、誰にでも生じます。毒成分に対して感作(アレルギーが成立する)されると、アレルギー性の炎症反応が加わることになります。
一方、蚊やノミ、ダニなどが血を吸う際に注入する唾液腺物質は、皮膚に対する刺激性がほとんどないので、痛みや発赤はみられません。
従って血を吸われていることに気づかないのです。
しかし、唾液腺物質に対して感作されると、血を吸われた後にアレルギー性の炎症反応が起こります。
虫によるアレルギー反応は、虫に刺された直後から十五分程度の間に生じる即時型と、一、二日後に生じる遅延型があります。
さらに、虫の種類や生体側の状況の違いにより、反応の起こり方には個人差が生じます。
また、虫に刺された頻度によっても皮膚の反応に違いがでます。
例えば蚊の場合、初めて刺された時は全く反応が起こりません。
しかし感作が成立すると遅延型反応や、即時型反応が出現するようになります。
その後も蚊に刺され続けると反応が弱くなり、ついには蚊に刺されても無反応となるのです。
日本人は、毎年少しずつ蚊に刺される場合が多いので、いったんは反応が強まりますが、年齢とともに反応が弱まっていくことが多いようです。