「ニキビ」について PertⅠ

日々の診療の中で、多くの方からニキビについての相談を受けます。
そこで今回はこのニキビについて少しお話をしたいと思います。
皆様は「アバタも、えくぼ」という言葉をご存知でしょうか?愛してしまえば、欠点さえも好ましいものに見えるという意味です。この「アバタ」は天然痘の痕(あと)のことを指します。天然痘にかかると、顔に発疹ができ、発疹の痕、すなわちアバタが残ってしまいました。アバタを醜いと感じる人が多かったため、それは相当なコンプレックスになっていたようです。かの文豪夏目漱石もアバタがあったと言われています。
最近はニキビの痕を指してこう呼ぶ人もいるようですが、ニキビができた人に残っているのは「アバタ」ではなく、「ニキビ痕」と呼ぶほうが正確です。
ニキビの予防と治療のなかで、皆様が気にされる事の一つに食事があると思います。まず大切なのは、言うまでもなく規則正しいバランスのとれた食事をすることです。
更にその中でも

①ビタミンを摂る。
②食物繊維を摂る。
③飲酒を控える。
④甘いものを控える。
⑤脂っこいものやナッツ類を控える。

ということが重要です。
①のビタミンの中で、ビタミンA、B2、B6、Cが大切です。納豆やうなぎ、レバー、いわし、緑黄色野菜等をお勧めします。勿論、ニキビと食事との関連は個人差が大きく、一概に食事だけを気をつければ良いわけではありません。
皮膚科専門医を受診し適切なアドバイスと治療を受ける事が大切です。
世界保健機関(WHO)は1967年から天然痘撲滅へ向け動き出し、1988年ついに撲滅宣言を出しました。天然痘がなくなった現在、本当の意味でのアバタはなくなってしまうことになります。となると、「アバタも、えくぼ」は「ニキビ痕も、えくぼ」とでも言い換えなければならないかもしれません。

2020年07月27日