夏に多くなる皮膚病、かぶれ
ライラックが咲き誇る5月下旬から6月上旬にかけて、北海道では「リラ冷え」と呼ばれる気温の低い日が続きます。
「リラ冷え」という言葉をつくったのは、作家の渡辺淳一さんではなく、榛谷美枝子さんという北海道を代表する俳人だそうで、1960年に詠まれた句の冒頭に使われています。
この肌寒い時期が過ぎると北の大地にも遅い夏が訪れます。
ライラックは季節を告げる花でもあるのです。
さて夏になると日差しが強くなり、汗も多く出るようになります。
また屋外では植物が生い茂り、虫などの小動物も繁殖します。
素肌にアクセサリーを付けたり、素足にサンダルを履いたりする機会も多くなるのではないでしょうか。
薄着になり、お肌を露出すると外部からの刺激にさらされて「かぶれ」や「虫刺され」などの皮膚病が発生しやすくなります。
イヤリングやピアス、ネックレス、指輪などのアクセサリー、時計、バックル、ジーンズの裏ボタン、留め金などに含まれることが多い、ニッケルやコバルト、皮革中のクロムなどの微量金属は、汗により溶け出し、かぶれを起こしやすくします。
ズボンのポケットに入れたコインが原因で、太ももにかぶれを起こしたという事例や、携帯電話との接触で耳やほほにかぶれを起こしたという事例があります。
これらも微量金属がかかわっていると考えられます。
同じものを寒い季節に使用してもかぶれを起こさず、暑い汗ばむ季節に使用するとかぶれを起こすという現象はよく見られます。
金属以外にもかぶれを起こす可能性があるものはあります。
レインコートに含まれるはっ水加工処理剤やゴム長靴の加工剤、ス二ーカーの接着剤、水泳やダイビングの時に使用するゴム製ゴーグル、ウェットスーツ中の物質などさまざまです。
屋外で活動するときは植物との接触機会も増えます。
草取りをしていてかぶれを起こしたという経験をされた方は多いのではないでしょうか。
ただ、こういったケースで原因植物を特定するのはなかなか難しいものです。
強い皮膚症状を起こす漆かぶれは有名です。
この漆にかぶれたことのある人は、マンゴーやカシューナッツ、ピスタチオ、イチョウにかぶれることがあります。
菊もかぶれの原因になり、漆と同じように、菊にかぶれた人はヒマワリやタンポポ、ダリア、ヨモギ、レタスにかぶれることがあります。
医者いらずとして有名なアロエも時としてかぶれを起こします。
これからの季節、何かと皮膚トラブルは起こるものです。
ささいなことでも皮膚科を受診されることをお勧めします。