「円形脱毛症」

円形脱毛症は突然、円形に脱毛が起こる病気です。
頭だけではなく、「毛」が存在する所なら、まゆ毛やまつ毛、ひげ、体毛など、どこにでも起こりえます。
脱毛に先立って現れる病変や前兆はなく、かゆみや痛みといった自覚症状もありません。
したがって、何らかの前兆があったり、自覚症状を伴ったりする場合は、別のタイプの脱毛かもしれませんし、他の病気を合併しているのかもしれません。
円形脱毛症は皮膚科を受診される方の2~5%の割合をしめます。
また一生を通じて円形脱毛症が発症する確率は1~2%と推測されています。
患者さんの10~30%の方に家族内発症があるといわれています。
アトピー性疾患や染色体異常のダウン症候群における脱毛症の合併率の高さや一卵性双生児における、脱毛発症の一致率の高さから遺伝の関与があることは確かです。
しかし、この円形脱毛症は、その原因がいまだに、はっきりとしていません。
以前から円形脱毛症と精神的ストレスの関連が指指されていましたが、確かな証拠はありません。
ただ、ストレスと脱毛を関連づける実験結果が一昨年に報告されていますので、その因果関係を否定することはできません。
精神的ストレス以上に、原因として有力なのが、自己免疫の異常です。
病原菌などから身を守るための免疫機能が、その矛先を自分自身に向けてしまっているのではないかと考えられています。
つまり、自分の持っている免疫力が毛を構成する組綾を攻撃しているのかもしれないのです。
治療は古くから行われている内服治療や外用治療の他、ステロイド内服・外用・病変局所への注射治療、紫外線照射治療、液体窒素による冷却療法、局所免疫療法など様々です。
症状に応じて、その治療方法を選択しますが、中には治癒が困難な場合があります。
さらに、いったん治癒しても再発する場合もあります。
いずれにせよ、脱毛に気付かれたら、皮膚科を受診してみて下さい。

2021年04月05日