皮膚と栄養
全身を覆う皮膚は外敵からの防御機構の最前線に位置しています。
新陳代謝を活発に繰り返し、細菌やウイルスの侵入を防ぐ役割を担っていま
す。そのため、皮膚に必要な栄養素を補給し、健康な状態を保つことは極
めて重要なことです。
皮膚は網目状に張り巡らされたコラーゲンの繊維によって、その弾力が
保たれています。コラーゲンの主な原料はプロリン、アルギニン、システ
インなどのアミノ酸です。コラーゲンを合成するには、良質なタンパク質
とビタミンCが不可欠です。また、アミノ酸の一つであるタウリンも肝臓
の機能を高め、皮膚に有害な物質を除去するのに有効な成分とされており
、それを多く含む魚介類の摂取がお勧めです。
ビタミンCはメラニン色素の変化を防いだり、コラーゲンの形成と維持
を調節したりする効果を持ち、鉄分の吸収を助ける働きもあります。通常
の食事をしていればビタミンCが不足することはまずありませんが、偏食
をしていたり、抗生物質を服用していると、腸内細菌が変化し、ビタミン
Cの合成が低下する場合があります。ビタミンCが低下、欠乏すると、皮膚
の内出血や粘膜からの出血が起こることがあります。ビタミンCを多く含む
食品にはイチゴやプロッコリー、赤ピーマン、芽キャベツなどがあります。
ビタミンAやEは抗酸化ビタミンと呼ばれ、保湿成分の生成に関与し、
皮膚の老化を防ぐ働きがあります。ビタミンAが不足すると皮膚表面が厚
くなり、乾燥肌やサメ肌の状態になります。ビタミンEには皮脂の酸化を
防ぐ効果以外に、血行を良くする作用があり、肌荒れの防止にも大きな役
割を果たしています。ただし、ビタミンAやEは水溶性のビタミンCと違
い、脂溶性で、過剰な摂取は控えなければいけません。ビタミンAはウナ
ギやレバー、卵黄、牛乳に、ビタミンEはアーモンドやタラコ、筋子、煎
茶に含まれています。
亜鉛やセレンといったミネラルも、皮膚の増殖や機能の維持に必要不可
欠な栄養成分です。亜鉛が欠乏すると、口内炎、脱毛、つめの変形が起こ
り、傷の治りが遅くなることもあります。亜鉛はカキやレバー、ウナギに、
セレンは玄米やこうじ、イワシの丸干しなどに含まれています。
細胞を正常に働かせるには「必須アミノ酸」を含むタンパク質を十分に
摂取し、ビタミンやミネラルも取る必要があります。バランスのいい食事
を心がければ問題はないでしょう。