むしでじんましん?

みなさんはアニサキスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
魚介類に寄生する虫の一つです。
 刺し身など生で魚介類を食べた後、突然起こる激しい腹痛の原因として
以前から有名でした。最近は、魚介類を食べた後のじんましんの原因とし
て、このアニサキスによるアレルギー反応が注目されてきています。
 アニサキスはイカやサンマ、イワシ、アジなど多くの回遊魚に寄生し、
これらを餌にするタラやサバにも寄生する線虫の一種です。動物に寄生す
る回虫もこの線虫の仲間です。文献によると各種魚介類のアニサキス寄生
率は、スケソウダラやサクラマスで100%、マダラで96%、カツオ90%、
ニシン77%、ゴマサバ55%、マアジ51%、マイカ(スルメイカ)42%、カ
タクチイワシ3-11%、などとなっています。
 アニサキスは温度の変化に弱く、六〇度で数分、氷点下二〇度では数時間
で死滅します。ですから魚介類を加熱調理したり、冷凍したりすること
で、消化管アニサキス症といわれる腹痛を防ぐことができます。というの
も、消化管アニサキス症は生きたアニサキスが胃壁や腹壁に穴を開けても
ぐりこむことで起きます。加熱や冷凍でアニサキスが死滅すれば大丈夫
ということになるのです。
 一方、アニサキスが引き起こすじんましんは、アニサキスそのものを構
成する成分やアニサキスが分泌したり排せつしたりする物質が原因とされ
ています。これらの成分・物質は加熱しても、冷凍しても影響が続きます。
つまり魚介類を焼いたり、煮たり、いくら十分に調理しても、また缶詰の
ような下処理加工をされていたとしても、じんましんは起こりうるという
ことです。
 魚介類を生で食べる機会の多い日本では、知らないうちにアニサキスの
成分にさらされており、魚の生食が多い地域では、アニサキスアレルギー
を引き起こす抗体を持った人が多いという調査報告があります。
 魚介類を食べた後に生じるじんましんや、治りづらいじんましんには、
このアニサキスアレルギーがかかわっている可能性があります。

2021年02月25日