「イボ」について

今回は「イボ」についてお話をしたいと思います。
皆様は「イボ」と聞いてどういうものを想像されるでしょうか?
一般的に「イボ」という言葉は広く、皮膚に生じた「できもの」を指して使われているよです。例えば、首の周りにブツブツとできる薄茶色のもののように。しかし、皮膚科でいう「イボ」は正確には「疣贅(ゆうぜい)」と言います。
これは、ヒトパピローマウィルスというウィルスによってできる、良性の腫瘍なのです。
お子様に多い「水イボ」もこのようなウィルスの一種(正確にはポックスウィルス科の伝染性軟属腫ウィルス=でんせんせいなんぞくしゅウィルス)が感染して起こる病気です。
さて、この「イボ」ですが、お子様の足の裏にできやすいのを御存知でしょうか?
足の裏に「うおのめ」ができたといって病院にいらっしゃるお子様が結構多いものです。
こういったお子様のほとんどが、実は「うおのめ」ではなく、「イボ」なのです。
この「イボ」、すなわち「疣贅(ゆうぜい)」はウィルスによってできるものですから、伝染してしまうことがあります。お子様が気になっていじっているうちに、手などに拡がってしまうこともたびたび見うけられます。
それでは、どうやって治療すればいいのでしょうか?一般的には、液体窒素というものを用いて、「イボ」を冷凍凝固させるという治療を行います。ただ、これは少し痛みを伴いますので、我慢が必要です。その他に皮膚を柔らかくする貼り薬を使用する場合もあります。
更には、麻酔をして切り取る手術もあります。
しかし最近は「モノクロロ酢酸」という化学物質を使用し、表面を溶かしていくという治療方法も確立されてきました。この方法だと、極めて短い時間で治療は終了しますし、痛みはほとんどないと言っていいほどありません。
治療方法という意味では少しずれるかもしれませんが、この「イボ」は以外と暗示だけで治ることもあります。治る、治ると信じていれば、自然になくなってしまうことがあるのです。そのため全国には「イボとり地蔵」なるものが存在しているそうです。
この現象は、人の免疫力に関わっている、NK細胞活性(エヌケイさいぼうかっせい)というものが高まるためと考えられています。
これから暑い季節がやってきます。裸足になる機会も多いかと思います。
お子様の足の裏をちょっと覗いて見てはいかがでしょうか?

2020年07月21日