「内臓と皮膚」について
皮膚に何か変化が起きた!内蔵が悪いのでは?こう考える人は意外と多いのではないでしょうか?日常診療において、最も多いのは、皮膚に外力が加わったり、物質が接触したりして起きる、湿疹・皮膚炎です。
内臓の異変により生じる皮膚病変を「デルマドローム」と呼びますが、日々の診療において、頻繁に出くわすものではありません。このデルマドローム、具体的にはどのような症状があるのでしょうか?以下は、ほんの一例です。
肝臓障害
・くも状血管腫(蜘蛛の巣のような血管の拡張が胸などに見られる)
・手掌紅斑(シュショウコウハン:てのひらが真っ赤になる)
・紙幣状皮膚(肩から腕の皮膚で、下を走る血管が透けて見える状態)
などが出現することがあります。
貧血や甲状腺疾患
・爪甲剥離(ソウコウハクリ:爪が浮き上がってくる)
・爪甲軟化症(ソウコウナンカショウ:爪が弱く、薄くなる)
といった症状を認めることがあります。
中性脂肪やコレステロールが高い、高脂血症(コウシケッショウ)や高コレステロール血症
・上まぶたの内側などに黄色い結節(ケッセツ)ができることがあります。
これを、黄色腫(オウショクシュ)といいます。
糖尿病
・糖尿病性壊疽(トウニョウビョウセイエソ:足のゆび先が黒くなり、潰瘍化する)
・掌蹠線維腫症(ショウセキセンイシュショウ:手のひらが縮まって動かしにくくなる)
・黒色表皮腫(コクショクヒョウヒシュ:脇の下の皮膚が厚く、黒ずんでくる)
などがあります。
このように、内臓の異変が、皮膚に現れることがあります。
しかし、皮膚に何らかの変化が生じたからといって、それが全て内臓に理由があるわけではありません。むしろ少ないのです。皮膚に起こる変化は皮膚だけで起こっていることの方がずっと多いのです。いずれにせよ、皮膚で「おやっ!?」と思うことがあれば、皮膚科でご相談してみて下さい。