「脂漏性角化症」について

脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)という名前の病気をご存知でしょうか?
これは、中年以降に顔や体に多発してくる、表面がややザラザラし、淡い茶色~こげ茶色を呈することが多い良性の皮膚腫瘍です。
別名、老人性疣贅(疣贅:ゆうぜい→イボ)とも言いますが、実際には20歳過ぎから徐々に出現します。特に屋外で仕事をする人やスポーツ選手などは、紫外線の影響もあり、若年齢でも発症します。
治療方法は、液体窒素による冷凍凝固、レーザー治療、切除、などがあります。
顔や首に生じた脂漏性角化症の治療は、整容的な問題を考え、できるかぎり治療後の色素沈着、瘢痕(はんこん)が目立たなくする必要があります。そのためには、液体窒素療法やレーザー治療が優れた方法です。
またかなりの頻度で、かゆみを伴うことが多く、こういった場合にも液体窒素療法が、かゆみのコントロールには有効です。
但し、この脂漏性角化症は、時として悪性の腫瘍との区別が必要な場合があります。
例えば、悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)・基底細胞癌(きていさいぼうがん)・ボーエン病・日光角化症(にっこうかっかしょう)といった病気との区別です。
こういった場合には、治療と検査を兼ねて、麻酔をし、病巣を全て切除するか、事前に病巣の一部を切って、病理検査を行う必要があります。
いずれにせよ、今述べました、脂漏性角化症の治療方法には、一長一短がありますし、区別をしなければいけない他の病気もありますので、気になる症状があれば、一度皮膚科での診察をお勧めします。

2020年11月24日