「これはイボ?」

春になると外に出る機会も多くなることと思います。
山菜採りや山歩きをされる方も多いのではないでしょうか?
山菜採りや山歩きの後に「突然イボができた」とおっしゃって外来受診される方がいます。
この「イボ」だと思っているものが、実は「ダニ」だったらどうでしょう?これが以外と多いのです。それはダニの一種である「マダニ」が人間を刺して、吸着することがあるからです。ここ北海道では6月に最も多くマダニ刺症が起こっています。
マダニは人間から血液を吸いながら、ダニの体液を人間の中に戻します。吸血するマダニが病原体を保有している場合があり、様々な病気を媒介することがあります。
病原体を持っていなくても、蚊や蜂に刺された時のように、かゆくなったり、痛みを感じたり、皮膚が腫れ、赤くなったりすることがあります。ただ、以外とマダニに刺される瞬間や刺された直後には、何の自覚症状もないことが多いのです。ですから、マダニに刺されたと自覚する方は少ないようです。
ではマダニに刺されたらどうすればいいのでしょう?
無理に引っ張ると口下片という針のようなものが皮膚内に残ってしまいます。刺されて24時間以内ならピンセットで除去することは可能です。しかしそれ以上になると、皮膚に強固に吸着してしまうので局所麻酔をし、皮膚を切除する必要があります。
更に、マダニが媒介する病原体による病気を予防する意味で抗生物質の内服を行ったほうがよいでしょう。
突然「イボ」のようなものができたら、「ダニ」という可能性もあります。
早めに皮膚科を受診することをお勧めします。

2020年11月09日