たかが皮膚!されど皮膚!

私たちにとって皮膚は気にとめなければ、そこにあるのが当たり前の、あたかも空気のような存在なのではないでしょうか。しかし、本当にそうでしょうか?皮膚はただ単に体を覆い、体内を機械的に守る「皮」なのでしょうか?答えはNOです。
皮膚は外的から身を守る、バリアーの役割を担うだけではなく、汗を分泌し、その量を調節して体温調節に一役買っていたり、積極的に免疫活動を営んだり、また時には内臓で起こっている異常を映し出す鏡の役割を果たしたりと、種々の機能を持った生命にとって欠かすことの出来ない重要な臓器の一つです。
また皮膚を「肌」と表現することからもわかるように、人と人とのコミュニケーションにおいて欠かすことの出来ない役割も演じています。それだけに、いったん皮膚に障害が発生すると、肉体的な負担が生じるだけではなく、その影響は全身に及び、心理的な負担も重大になってきます。
この皮膚の障害によって生じた心理的な負担はその人にしかわからないことが多いと言えるのではないでしょうか。「なんだ、そんなことぐらいで」や「たかが湿疹だろ」などと片付けられてしまうことがちょくちょく見受けられます。しかし、そもそも「病(やまい)」とは、その人が感じる苦痛全てを指すものです。軽んじられるものなどないはずです。
我々「やなせ皮フ科クリニック」では、ともすると、なおざりにされがちな、皮膚の「病」に対して少しでも力になれたらという思いで日々の診療にあたり、地域に根差した医療を実践すべく、頑張っていきます。
どうぞ宜しくお願い致します。

2020年06月29日